年金はDBからDCへ(その1)
大企業において、年金制度を確定拠出年金(DC)へ一本化する事例が増えています。
昨年度報道されただけでも、有名どころでソニー、パナソニック、JVCケンウッドなどがあります。
これらの企業は、年金制度を既に確定拠出年金(DC)へ移行しているものの、確定給付年金(DB)時代に積み立てた資産はそのままDBで運用されており、その資産をDCへ移行させるようです。
移行に当たって、ソニーは積み立て額の4割を上乗せするらしいです。
そんなにしてまで、最近、企業がDCへ移行したい理由は何でしょうか?
およそ、以下のことが考えられます。
・DBだと企業に給付額を補償する責任(債務・リスク)がある。
・最近は株高でDCの運用が順調なので、従業員が不満を持つことなく移行できそう。
・海外との給与体系統一(海外ではDCが一般的)
移行は企業側の都合で進むものですが、DBからDCへの移行は従業員側にもメリットがあります。たとえば、
・自己都合での退職でも、割引されない。
(DBの場合は定年扱いでない個人都合退職の場合、一部を割り引かれることが多い)
・上乗せがある。(ソニーだけ?)
・自主運用資産の増加
私は基本的にDCへの移行に賛成です。
大きな理由は、定年以外の自己都合退職で割引されないことです。
定年前に自己都合で辞める人の退職金を減らすのは、浮いた分を定年退職者へ渡す仕組みの様に思います。
定年前に退職(転職)する人と言うのは、自律的にキャリアや報酬を志向して行動できる人か、家庭の事情などやむを得ない理由で退職する人が多い様に思います。
そんな人が不利益を被り、会社に居座っただけの人に利益を与える仕組みは全く理解できません。
退職金は会社への貢献(または、会社を通じて社会へ行った貢献)に対して支払われる対価です。
であれば、勤続年数や定年かどうかではなく、貢献度合いによって支払い金額は変わるべきです。
これまでの様に、年功序列制(貢献度合いに関係なく、勤続年数が長いほど報酬が高くなる仕組み)や、定年退職制度(一度入社した会社は、定年まで勤めあげる)などはそろそろやめにして、貢献度に応じて正しく報酬を支払う仕組みが必要でしょう。
簡単なことではありませんが、挑戦して工夫と改善を重ねるべきです。
DCへの移行については、自己運用資産が増えることも従業員のメリットです。
投資対象が絞り込まれているのは少し難点ですが、自分の人生に必要な資金を自分で稼ぎだそうとするのは当然なので、会社に任せていた自分自身の人生経営を自身の手に取り戻すべきです。
人任せにしていた今までの方がおかしいのです。
つづく
▼押してくれたら、更新頻度が上がります。